高牧康『「裏声」のエロス』(集英社新書)をフォローする2008-12-22

裏声が出せると声がよくなる、歌がうまくなる、ひいては恋愛、プレゼン、健康にも効果がある…っていわれてもねえ。そもそも裏声とはどういう声なのか、どうすれば出せるのか、著者は明確に説明してはいないんです。裏声なんて出せないし、どんな声なのかもよくわからない、というひとも少なくないと思うんですが。

なので、裏声の実例をいくつか挙げてみます。すべて女性歌手の歌謡曲です。

有名どころでは、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」。石川さゆりは、演歌歌手にしてはめずらしく、わりと高音域まで地声の張った声で歌える歌手です(アイドルに近い発声ですね。実際デビュー当時はアイドル路線だったらしい)。この曲では、サビの「こごえそうな鴎見つめ」では連続するCをしっかり張っていますが、その直後の「ああ…」のCは艶のある裏声になってます。

アンジェラ・アキの「サクラ色」は、サビ直前「Yeah...」のAまでは地声、そしてサビ頭の「恋しくて」でCへ上がって裏声になります。裏声への切替をともなうF->Cの跳躍はけっこう難しいですが、ここで地声を張っては、目を閉じて過去の幻影を見るという感じが出ませんよね。

最近感動したのは、中川翔子の「綺麗ア・ラ・モード」。中川翔子は、Dまで地声で出せる正統派アイドルですが、筒美京平はさらにその上を要求しています。サビのメロディをたどると、「アラモードね」でC、「違う空」でDb、そして「透き通った」で最高音のEbに達し、ここだけ裏声になります。感情の頂点で漏れる裏声。エロスですねえ。

以上、裏声が効果的に使われている例をとりあげてみました。このテーマ、個人的にすごく興味があるので、もう少し引っ張らせていただきます。まったく書評になってませんが、新書をとっかかりにあーだこーだ書きつけるというブログなので。すみません。